婦人科でのロボット支援手術
ロボット支援手術の沿革
手術支援ロボットは1999年に米国で発売され、日本では2012年に前立腺がんに対して保険適応となりました。
婦人科領域では、2018年に子宮筋腫と子宮体がんに対する子宮摘出術が保険適応となり、2020年には骨盤臓器脱に対する仙骨腟固定術も保険適応となりました。婦人科領域におけるロボット支援手術はここ数年で急速に拡がっており、2019年には良性において2017年の40倍、悪性において4倍に増加し、手術件数は2,000件を超えています。
2020年以降も症例数は増加の一途を辿っており、今後も引き続き症例数の増加が予想されます。
ロボット支援手術の特徴
ロボット支援手術は従来の腹腔鏡手術と同じく、鉗子※1を挿入するため5か所ほど1cm前後の切開を加えます。
開腹手術と比べ傷が小さいため術後の疼痛が少なく、子宮筋腫など良性疾患であれば術後4〜5日で退院可能であり早期の社会復帰も十分可能です。
※1 鉗子とは、刃のないハサミのような形をした医療器具の総称です。主に器官や組織などを挟んで引っ張る・引き寄せる・圧迫するなどの用途で用いるもので、目的により様々な種類と形状のものがあります。
従来の腹腔鏡手術との違い
従来の腹腔鏡手術とロボット支援手術の大きな相違点は次の2点です。
- 従来の腹腔鏡手術より視野が良好です。
従来の腹腔鏡手術より近接視野で拡大した術野が確保でき、これまでは認識が難しかった細い血管なども処理が可能となりました。ロボットがカメラを動かすため振れがなく術野が常に安定しており、術中出血量を減少させ、より安全な手術が可能となります。 - 鉗子の可動域が広く手術操作に優れています。
ロボット支援手術で使用する鉗子は複数の関節を有しており、人間の手以上の可動域を確保することができます。そのため従来の腹腔鏡手術と比較すると、ロボット支援手術では非常に繊細な操作が可能となります。
これらの特徴により手術成績が向上し、より安全かつ低侵襲な治療を提供できると考えております。