医療法人 原三信病院
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前立腺炎

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概要

前立腺炎には急性前立腺炎と慢性前立腺炎があります。

原因・症状

  • 急性前立腺炎
    多くは細菌感染が原因で38℃以上の発熱に排尿困難、頻尿、排尿時痛などをともなうことが多い。
  • 慢性前立腺炎
    会陰部(陰のうと肛門の間)、下腹部、股間、精巣(睾丸)、尿道やペニスなどにさまざまな鈍い痛み、あるいは不快感が現れる病気で、30~50歳台によくみられ、本邦では年間60万~100万人の患者がいると推定されています。

検査

  • 急性前立腺炎
    診断は症状、経過、尿所見、採血による白血球増多や炎症反応高値などから診断される。前立腺は触診すれば強い圧痛を認めるが、炎症を悪化させる危険性もあるため実施しないか、実施するにしても愛護的に行う必要がある。

  • 慢性前立腺炎
    「慢性前立腺炎」というと、いかにも急性前立腺炎が慢性化したような病名ですが、急性前立腺炎が先行することはむしろ稀で、臨床的には前立腺が責任病巣であるとも断定できない慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群のようなタイプが90%以上を占めています。難治性の疼痛や会陰部の不快感により生活の質が著しく損なわれます。診察では前立腺が圧痛を呈することがありますが,特に異常が認められない場合も少なくありません。しばしば難治性であり、現在でもわかっていないことが多い疾患です。

治療

  • 急性前立腺炎
    治療としては主にニューキノロン系の抗菌薬を長め(2~6週程度)に投与する。排尿困難や前立腺肥大症をともなっている場合はα1遮断薬が併用される。なお、起炎菌の感染経路は不明のことが多い。
  • 慢性前立腺炎
    前立腺触診で圧痛の有無を確認し、前立腺マッサージ後の検尿にて白血球が認められれば、前立腺に炎症があると考えて、抗菌薬による治療が試みられますが、効果を認めない場合には、慢性骨盤痛症候群として鎮痛剤、漢方薬、向精神薬、前立腺温罨法やマッサージなど様々な治療が試みられることになります。
    臨床的には前立腺肥大症とするにはまだ若い50未満の男性の場合に、慢性前立腺炎という病名がつけられがちな傾向があり、排尿の状態などは確認されていない例が少なくありません。ご本人も痛みのために排尿どころではないという場合もあります。
    自分でできる方法として排尿記録をつけ、1回排尿量が150mlもないようなら、慢性前立腺炎ではなく、間質性膀胱炎という病気の可能性もありますので、排尿記録を持参して間質性膀胱炎の診療を行っている医療機関を受診するのがお勧めします。簡単にひとくくりにはできない病気であるため、最近ではUPOINT(U:排尿機能、P:心理社会学的要素、O:膀胱・前立腺の異常、I:感染の有無、N:神経症的要素、T:骨盤底筋群の緊張性)を考慮して、それぞれの患者様の病態に応じたきめ細かい治療を行うことが推奨されています。

生活上の注意として以下のようなことが挙げられます。
①症状が強い時は自転車やバイクなど股間を刺激する乗り物は控える
長時間座り続けることが良くないためので、デスクワーク、運転や釣りなどをする場合には、時々立って体を動かしてください。
③コショウ、唐辛子、ワサビなどの香辛料や飲酒は症状を悪化させますので、控えることがお勧めです。
④飲水量を増やすことで症状が和らぐケースがありますが、水分摂り過ぎになると頻尿が悪化します。
⑤楽しく集中できることを見つけて上手に気分転換してください。