子宮筋腫
概要
原因・症状
原因はまだはっきりとはわかっていませんが、下記要因が可能性として考えられます。
■女性ホルモンの変化:月経周期で変化する女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは20代から分泌が盛んになり、その影響で発症しやすくなることが知られています。また、閉経後、ホルモンの分泌量が激減すると筋腫が徐々に小さくなることもわかっています。
■妊娠によるホルモンの変化
■初経年齢が低い
■妊娠回数が少ない
■肥満
■家族歴の関与:家族に既往歴のある場合は発症のリスクが高まるとの報告があります。
症状は、特に筋腫が小さいうちは無症状の場合もありますが、下記のような症状があげられます。
■過多月経:月経量の増加やレバー状の血の塊が混じる
■過長月経:通常より長期の出血
■不正性器出血:月経以外の出血
■月経痛:月経時の痛みが強くなる
また、筋腫が大きくなると、上記症状に加えて、貧血、下腹部痛、腰痛、便秘、排尿障害(頻尿)、不妊症、流早産などを併発することがあります。
検査
医師による内診や超音波検査、血液検査、MRI検査などが行われます。状態によっては、検査を組み合わせて行うこともあります。
■内診:医師が腹部と腟を診察し状態を確認します。筋腫が小さい場合は、内診だけでは見つけることができない場合があります。
■超音波検査:超音波を用いて子宮内部を画像に映し出し、筋腫の有無や大きさ、位置を確認します。筋腫と診断された後の症状の経過観察でもよく用います。
■血液検査:貧血の有無などを調べます。
■MRI検査:大部分の子宮筋腫は超音波検査のみで診断が可能ですが、筋腫が大きく、手術を前提に部位を特定する場合や悪性腫瘍と区別がつきづらい場合に行います。
治療
子宮筋腫は発見されたからといって必ず治療を行わなければいけないものではありません。無症状の場合は、治療せず、定期的に検査を行って経過観察とすることが多いです。症状がある場合は、患者さんと筋腫の大きさや年齢、妊娠の希望などご相談の上、治療法を決定します。
※筋腫の数・大きさ・発生場所など医学的観点から、患者さんがご希望される治療法が適応できない場合もあります。
薬物療法(ホルモン療法)
薬で女性ホルモン分泌を抑えて一時的に閉経状態にし、筋腫を小さくしたり、出血や痛みを軽くしたりします。更年期様の症状や骨密度が低下することがあるため、長期(半年以上)の治療はできません。治療を中止すると筋腫は元の大きさに戻り、根治には至りません。多くは、手術の前や閉経が近い年齢の方の場合に用います。
手術療法
入院期間は約数日~10日間です(術式により異なります)。
■子宮筋腫核出術:腹腔鏡または開腹下に、子宮筋腫核のみを摘出し、子宮は残します。子宮内腔に突出する粘膜下筋層の場合には、子宮鏡下に摘出します。将来、妊娠が可能です。小さな筋腫は残るため、筋腫が再発する可能性もあります
■子宮全摘術:腹腔鏡または開腹下に、筋腫を含め子宮を全て摘出する方法で、根治的手術とも言えます。基本的に両方の卵巣は残しますが、異常が見られる場合は摘出することもあります。
■その他:他の治療として、筋腫や体の状態によっては子宮動脈塞栓術(子宮を栄養する血管を詰める方法)を行っている施設もあります。