頻脈性不整脈
概要
突然脈拍が早くなり治まらない、脈がとぶ、動悸がするなどの症状があり、ひどい場合は意識を失うこともあります。心臓の中には電気回路があり、電気信号で、心臓は動いています。この電気信号に異常が生じると、脈が乱れ、不整脈となります。
頻脈性不整脈には、心房細動、上室性頻拍、心室頻拍、心室細動などがあり、 どの不整脈が起こっているのかを突きとめて、それに応じた治療をすることが重要です。
動悸の時の心電図がとれれば診断はつきますので、早めに受診してください。しかし、病院に受診した時には動悸が落ち着いていることがありますので、自分で脈をとるようにしてください。診断の参考になります。
原因・症状
頻脈性不整脈の原因には、心筋症や冠状動脈疾患などの心臓疾患、甲状腺機能亢進症、ストレス、過剰なアルコール摂取などがあります。症状としては、息切れ、めまい、不安感、胸の痛み、動悸などがあります。
検査
■心電図:心臓の電気的な興奮を記録します。その波形から、心臓の異常を類推できます。過去に心筋梗塞を起こしていないか、心筋傷害がないか、心不全の原因となる不整脈がないか、などがわかります。
■ホルター心電図:24時間心電図をレコーダーに記録して後日、解析を行います。動悸やふらつきなどの症状がある時、夜間睡眠中の不整脈などをとらえる事ができます。
治療
■薬物治療:心臓の異常な電気信号を抑えるために、抗不整脈薬が使用されます。脳梗塞の原因となる不整脈には、心臓に血の塊ができるのを予防する抗血栓薬が使われます。不整脈はストレスが原因で起こることも多いため、精神安定薬で自律神経のバランスを整えたり、不安を和らげたりして、治療を行うこともあります。
■機械を植え込む手術:電気刺激を発する機械を肩の下の皮下に植込んで、細い導線を通して心臓に電気刺激を送る治療です。「植込み型除細動器」(当院では施行しておりません)と「ペースメーカー」があります。
■カテーテルアブレーション:電不整脈の薬物治療以外の代表的な治療法にカテーテルアブレーションがあります。カテーテルアブレーションは、治療用のカテーテルで不整脈を起こす原因となっている異常な電気興奮の発生個所を焼き切る治療法です。代表的な頻脈性不整脈(早い脈の乱れ)である心房細動は、肺静脈から発生する異常な刺激が原因であることがわかっており、左右の肺静脈をそれぞれ囲うように焼灼することで、根治しうると考えられています(肺静脈隔離術といいます)当科では動悸などの症状がある、薬剤難治性心房細動に対するカテーテルアブレーションを積極的に行っています。
アブレーション治療用のカテーテルを首や太ももの付け根から血管を通じて心臓に挿入し、カテーテル先端から高周波電流を流して不整脈を根治します。事前に心臓造影CT検査をおこない、そのデータを3D画像に変換・再構成(3Dマッピング)し、具体的に表示することにより、アブレーションカテーテルとの位置関係を確認しながら確実な治療が可能となります。