医療法人 原三信病院
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肝硬変

概要

肝硬変は、肝臓が硬くなり、肝臓の機能が低下した状態のことをいいます。肝臓に炎症が起こり、肝細胞が破壊されると、それを修復する際に線維が蓄積します。慢性肝炎や肝障害により長期にわたって肝細胞の破壊と修復が繰り返されると、最終的には肝臓が固く小さくなります。進行すると腹水や黄疸など様々な症状が現れる他、肝不全や肝臓がんなどの合併症を引き起こすこともあります

原因・症状

肝硬変の原因は、日本ではB型・C型肝炎ウイルスによるものが大半で、アルコールの過剰摂取によるものがそれに次ぐとされています。その他には、脂肪肝から肝硬変へと進展したり、自己免疫疾患、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎が原因になることもあります。ただし2010年以降、肝炎ウイルス感染者数は急減しており、肝硬変の原因としては、アルコールと脂肪肝によるものの割合は増えてきています。

肝硬変は、初期段階では「代償性肝硬変」とよばれ、自覚症状はほとんどありませんが、進行した肝硬変は「非代償性肝硬変」とよばれ、以下のような症状・合併症がみられます。
■疲労感
■食欲不振
■体重減少
■腹水(腹部に水がたまる症状)
■浮腫(むくみ)
■黄疸(目や皮膚が黄色くなる症状)
■クモ状血管腫(首、胸部、頬に赤い斑点ができる症状)
■手掌紅斑(手のひらの、特に親指と小指の付け根が赤くなる症状)
■女性化乳房(男性でも女性ホルモンが分泌されていますが、肝臓での女性ホルモン分解機能が低下するため乳房が大きくなることがあります。)
■肝性脳症(肝機能の低下により本来は肝臓で除去されるはずの有害物質が脳に届き、人格が変わる、手が震える、行動パターンの変化など様々な意識障害が出ます。)
■食道静脈瘤(肝機能の低下により、本来肝臓へ送られるはずの血液が食道や胃の粘膜下の血管に流れ込むことで食道や胃の血管が太くなり瘤(こぶ)ができる状態で、破裂すると大量吐血することがあります。)
■肝臓がん

検査

肝硬変を診断するために、以下のような検査が行われます。
■血液検査:血小板数、肝酵素、アルブミン、ビリルビンなどの血液検査を行います。
■画像検査:超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査で肝臓の形状、大きさ、血流状態を調べます。また、内視鏡検査で食道や胃の静脈が太くなった静脈瘤の形成が確認された場合は、肝硬変の診断の助けになります。
■肝生検:肝臓の一部を針で刺して組織を採取し、顕微鏡で観察します。
■フィブロスキャン検査:超音波と振動の伝わり方で肝臓の固さを測定する検査です。痛みはなく患者さんの体への負担も小さいため、肝生検を行わずにフィブロスキャンをはじめとした新しい診断機器を利用して診断をする病院もあります。

治療

肝硬変そのものを治療できる薬はありませんが、肝硬変の原因に対する治療、症状の緩和や合併症の制御を目的とした治療を行います。
■薬物療法:肝硬変の原因となる肝炎ウイルスを排除する薬、肝臓の炎症を抑える薬、肝機能の低下により不足する栄養素を補充するための薬などを使用します。■禁酒・節酒:アルコールが原因の場合は、禁酒・節酒し、肝臓への負担を軽減させます。患者さんがアルコール依存症である場合もあるので、精神科の医師と連携しカウンセリングなどが行われる場合もあります。
■肝臓移植:他の治療法で症状が改善せず、条件を満たす場合は肝臓移植が選択されることがあります。        

その他、合併症に対する治療も行われます。