医療法人 原三信病院
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肺がん

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概要

肺から発生するがんの総称で、肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがん化したものです。進行するにつれてまわりの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって広がっていきます。症状が出づらい疾患のため、検診や人間ドッグ、他の病気などで医療機関にかかっている時に発見されることが多くなっています。

原因・症状

原因は、主に喫煙(受動喫煙含む)であり、特殊な原因としてアスベスト、じん肺や遺伝子の変化などがあります。
症状が出づらい疾患ですが、治りにくい咳や胸の痛み、呼吸時の「ゼーゼー」といった音、息切れ、血痰、声のかれ、顔や首のむくみ等が一般的な症状です

検査

がん病変の発見のため、胸部のレントゲン検査:単純X線検査、CT検査、MRI検査、FDG-PET検査、腫瘍マーカーなどを行います。検査で疑わしい部分があった場合には、がん病変の確定のため病理検査を行います。そこでがんの診断になった場合には、進行度や転移などがないかも調べます。

■レントゲン検査
■CT検査
■MRI検査
がんの発見のために加え、転移の有無を調べるときにも行います。放射線を使用せず、磁気を用いて体の断面写真を撮影します。大血管への浸潤(広がり)の有無を見る時などに行います。
■RI(骨シンチグラフィ)検査
骨への転移を調べる際に行います
FDG-PET検査
ブドウ糖に放射性物質を標識(帯び)させたものを静脈注射してがん病変の有無、広がりを調べます。
■腫瘍マーカー
がんを調べる際に行う血液検査の1つです。がん病変がある際、血液、尿、身体組織中で正常より高い量がしばしば検知できる物質です。がんで上昇することが多いですが、必ず上昇するわけではありません。
■病理検査
生検や必要があれば外科的に病変部を切除して細胞を採取し、顕微鏡で確認します。細胞診検査、病理組織検査を行います。

治療

治療法には、手術療法、薬物療法、放射線療法などがありますが、がんの進行具合(ステージ)、種類や遺伝子の変化の具合で治療方針が変わります。

手術療法

手術によってがんを取り除きます。最も根治に近い治療法です。標準的な手術は病巣のある肺葉切除術です。病状によっては胸腔鏡による手術も行われます。

薬物療法(化学療法)

身体の中からがん細胞を消滅させるために免疫チェックポイント阻害剤など抗癌剤を静脈注射あるいは内服で投与します。

放射線療法

体の外から肺がん目がけて放射線を照射します。主に強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiotherapy:IMRT)という、正常組織の照射線量を抑えつつ腫瘍部分に放射線を集中して照射できる画期的な照射技術が使われます。がんの進行が進んでいる場合は化学療法と併用する場合もあります。

 

補足

がんと診断された場合、がんの大きさや広がり、リンパ節への転移の有無、他の臓器への転移などを調べ、がんがどれくらい進行しているのかを確認します
がんの進行度(ステージ)
ステージⅠ(1期) がんの大きさが5㎝以内で肺の中にあり、リンパ節へ転移がない
ステージⅡ(2期) がんの大きさが5㎝以上だが、リンパ節へ転移がない
浸潤(周囲への広がり)が強いが、リンパ節へ転移がない
がんの大きさは5㎝以上7㎝以下で、肺内リンパ節または 肺門リンパ節に転移がある
ステージⅢ(3期) 2期よりも進行しているが、4期よりは早期の段階にある
縦隔リンパ節または、最初にできた肺の反対側にも転移がある
周囲への臓器への浸潤がる
ステージⅣ(4期) 肺から離れた別の臓器に転移(遠隔転移)がある
最初にできた肺の反対側にも転移がある
胸水(胸腔内にたまった多量の液体)にもがんがある