医療法人 原三信病院
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逆流性食道炎

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概要

胃酸が食道に逆流して食道粘膜にびらんなどを作り、不快な症状をおこす病気です。主な症状は胸やけ(みぞおちから胸のあたりが焼けるような感じがする症状)や呑酸(口の中に酸っぱい味や苦い味が広がる症状)ですが、その他にも逆流した胃酸がのどや気管支を刺激して、のどの違和感、声がれ、咳などをおこすことがあります。胸痛の原因となることもあります。

原因・症状

主な原因は、食道と胃の間の筋肉である下部食道括約筋の機能不全によるものです。下部食道括約筋が弱くなると、胃酸が食道に逆流して炎症を引き起こすことがあります。

逆流性食道炎の症状には、以下が挙げられます。
■胸焼けや胸の痛み
■喉の痛みや喉の痒み
■喉の詰まり感や喉の違和感
■口の中の酸っぱさや苦み
■呼吸困難
■食欲不振や吐き気、嘔吐

検査

上部消化管内視鏡検査と共に胸やけ、呑酸などの胃酸逆流症状があるかどうか問診で確認します。上部消化管内視鏡検査では食道の下端にびらん、潰瘍や粘膜が白濁するなどの色調の変化がないか観察します。内視鏡上は図に示すようにグレードN, M, A, B, C, Dに分類します(ロサンゼルス分類 星原改訂)。グレードNは内視鏡上正常で、グレードM→A→B→C→Dとなるにつれて内視鏡上の重症度が上がります。

逆流性食道炎 ロサンゼルス分類(星原改訂)

治療

内視鏡上の粘膜傷害の程度は胃酸逆流の程度と相関しますが、症状の程度とは必ずしも相関しません。内視鏡上、軽症で(グレード M, A, B)で症状がなければ、お薬の治療は受けずに経過を見ていただくことも可能です。症状があれば、お薬の治療をお勧めします。また、内視鏡上、重症の場合(グレード C, D)には、症状の有無にかかわらず、お薬の治療をお勧めします。

お薬の治療は胃酸を抑えるお薬でタケキャブ®やパリエット®、ネキシウム®、タケプロン®といったお薬が中心となります。パリエット®、ネキシウム®、タケプロン®はプロトンポンプ阻害薬という胃酸分泌を抑えるお薬で長い間、逆流性食道炎の中心的なお薬でした。タケキャブ®は2015年に発売されたボノプラザンという更に胃酸分泌を抑える作用が強いお薬です。現時点でボノプラザンとプロトンポンプ阻害薬の使い分けに決まったルールはありません。

上記のお薬の治療に加えて、食後すぐに横にならない、過食をさける、脂っこいものを食べすぎない、肥満を解消する、禁煙など、生活習慣の改善をお勧めします。