胃がん
概要
胃にできるがんです。ヘリコバクター・ピロリという細菌が胃に感染することでがんができやすくなることがわかっています。早期に見つけると内視鏡的切除(胃カメラで病変を切り取る治療法)で治療可能です。特にピロリ菌に現在感染している、または過去に感染していた方は定期的な上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けて、病気を早く見つけるようにしてください。
原因・症状
胃がんの原因は明確には解明されていませんが、以下のような原因が考えらます。
■年齢: 高齢者ほど胃がんの発症リスクが高まります。
■性別: 男性に多く見られます。
■ヘリコバクターピロリ感染: 胃の内壁に感染する細菌であるヘリコバクターピロリの感染が胃がんのリスクを高めるとされています。
■食生活: 高塩分食や脂肪の多い食事、野菜や果物の摂取不足など、食生活が胃がんのリスクに関連していると考えられています。
■禁煙: タバコの喫煙は胃がんの発症リスクを高めるとされています。
胃がんの初期症状は、ほとんどが不快感や痛みがなく、進行した段階で、次のような症状が現れます。
・胃痛や下腹部の不快感
・吐き気や嘔吐
・食欲不振や体重の減少
・貧血
検査
胃がんは上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線造影検査(胃透視)で発見されます。早期胃がんは症状がないことが多く、健診やスクリーニング(病気がないか確認する)目的の検査で発見されることがほとんどです。内視鏡的切除で治療できるがんは非常に早期の病変のため、病変を発見する確率の高い上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)での検査をお勧めします。
胃がんが見つかったら病変の範囲、深さの診断を上部消化管内視鏡検査や超音波内視鏡検査、精密胃X線造影検査などで行います。胃がんの範囲診断は、レーザー内視鏡を用いた拡大観察で、粘膜表面の構造や血管のパターンでがんの境界を診断します。がんの確定診断を得るために、内視鏡で見ながら生検(鉗子で2~3mm程度の小さい組織片をとります)し、組織学的診断(病理医が顕微鏡で見て診断する方法)を行います。超音波内視鏡検査は内視鏡の先端に出したプローブから超音波を病変に当てて、がんの深さやリンパ節の腫れなどを診断する方法です。がんの広がりやがんが深く入っている事を示す壁の変形の有無を見るため、精密胃X線造影検査を行います。リンパ節転移や肝臓などの他の臓器への転移の有無を見るために、CT検査を行います。
治療
早期胃がんでがんのタイプ、がんの深さ、広さ、潰瘍(瘢痕)の有無に関するある一定の条件を満たせば、リンパ節へ転移する確率が非常に少ないため、外科的な胃切除術ではなく内視鏡的切除で治療が可能となります。
通常は、一括完全切除率の高い内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で治療を行います。
上記の内視鏡治療の適応を満たさず、また遠隔転移(肝臓などの他の臓器や遠くのリンパ節への転移)がない胃がんに対しては、外科的な胃切除術で治療します。
がんの場所や広がり、深さによって、幽門側胃切除術(胃の出口側2/3程度を切除する)、胃全摘術(胃を全部切除する)、噴門側胃切除術(胃の入口側を切除する)など、術式が異なります。
手術で切除できない胃がんに対しては抗がん剤による治療が行われます。