医療法人 原三信病院
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正常圧水頭症

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概要

水頭症

脳や脊髄は髄液と呼ばれる透明な液体に囲まれて保護された状態にあります。髄液は通常では、頭部と脊髄周囲合わせて120~150mL程度存在します。髄液は主に脳の中の脳室と呼ばれる空間で1日約500mL作られ、ほぼ同じ量が吸収されますので、1日3〜4回、約6〜8時間ごとに入れかわることになります。水頭症とはこの髄液の量が増え、脳室が異常に拡大した状態を言います。その原因には大きく分けて髄液の産生過剰、髄液の循環障害(閉塞性水頭症)、髄液の吸収障害(交通性水頭症)の3つがあります。

正常圧水頭症

交通性水頭症の一つで、髄液が通常より増加し脳室が拡大しているにもかかわらず、髄液圧が正常のものを言います。これは脳脊髄液の増加や脳室の拡大が非常に緩徐に進行するため、種々の代償機転が働くためと考えられます。高齢者に多い原因不明のもの(特発性)やクモ膜下出血、頭部外傷、髄膜炎のあとにおこるものがあります。

原因・症状

物忘れ(認知症)、歩行障害、尿失禁などの症状が緩徐に進行していきます。歩行障害は特徴的で両足を開き、小きざみ歩行となります。

検査

CTスキャンやMRIで脳室の拡大を確認します。脳腫瘍や脊髄、脊椎の疾患がない症例では、腰椎穿刺による髄液排除試験を行います。髄液を排除することで症状が一時的にも改善する場合は次に説明するシャント手術の効果が期待できます。

治療

正常圧水頭症は認知症を起こす病気の中でも、手術で症状を改善させることができる稀な病気です。手術は脳室腹腔シャント(VPシャント)か腰椎腹腔シャント(LPシャント)を行います(図)。これは脳脊髄腔内で吸収できなくなった過剰な髄液を、体の中に埋め込んだシャントチューブを使って、腹腔内で吸収させるものです。当院では患者さんの病気や全身の状態に応じて、2種類のシャント手術のうち最適なものを選択して行っています。