慢性硬膜下血種
概要
慢性硬膜下血腫とは頭部打撲直後には症状も軽微でCTでも異常が認められないような方が、慢性期(通常は1~2ヶ月後)になって、頭蓋骨の下にある硬膜という脳を覆う膜と脳との隙間(硬膜下腔)に薄い被膜で覆われた血液(血腫)が徐々にたまり症状が出現する病気です
原因・症状
血腫が脳を圧迫することで、頭痛や吐き気、手足の脱力、しびれ、言葉がしゃべりにくい、物忘れがひどくなった、尿を漏らすなど様々な症状が出現します。歩くときに傾く、箸や茶碗が持ちにくくなった、言うことがおかしくなったなどの症状で受診される方もおられます。特に高齢者や脳梗塞・心筋梗塞などの予防のために、血液をさらさらにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬)を内服されている方は発生頻度が高くなりますので注意が必要です。
検査
検査としてはまずCTスキャンが重要で、ほとんどの症例はこの検査のみで診断が確定します。ただし受傷直後にはCTスキャンでも異常がないことが多く、症状出現時に再度検査を行う必要があります。
治療
治療は穿頭術といって、頭皮を3〜4cm切開し、頭蓋骨に1〜2cmの小さな穴を開けて、その穴から硬膜下にたまった血液を洗浄、除去する手術で行います。この手術は局所麻酔で行い、100歳を超えるようなご高齢の方でも可能です。90%の方は1回の手術で治癒しますが、10%の確率で再発することがあると言われていますので、手術後も注意深く経過を見守る必要があります。もし再発した場合は、再度、穿頭術を行いますが、再発を繰り返す場合や急性の出血を起こした場合は、全身麻酔下で頭を大きく開けて(開頭術)、血腫やその被膜を摘出しなければならないこともあります。