医療法人 原三信病院
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ネフローゼ症候群

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概要

ネフローゼ症候群は、腎臓の糸球体におけるフィルタリング機能の障害により、大量のタンパク質が尿中に漏れ出す状態です。一般的に、尿中のタンパク質濃度が正常値を上回ることがあります。主な原因として、原発性ネフローゼ症候群(特発性)と病的な条件による二次性ネフローゼ症候群があります。

原因・症状

  1. 原発性ネフローゼ症候群:具体的な原因は不明ですが、免疫系の異常が関与している可能性があります。​
  2. ​二次性ネフローゼ症候群:他の病気や状態によって引き起こされることがあります。糖尿病性腎症、全身性エリテマトーデス、感染症(HIVや肺炎など)、腫瘍などが関与することがあります。

ネフローゼ症候群の一般的な症状には以下が含まれます:
■タンパク尿:尿中に大量のタンパク質が排泄され、尿の泡立ちや濁りが生じることがあります。
■むくみ:特に顔や足のむくみが現れることがあります。
■体重増加:体内に余分な水分が貯留するため、体重が増加することがあります。
■低蛋白血症:タンパク質の喪失により、血液中のアルブミンなどのタンパク質が低下することがあります。

検査

■尿検査:24時間尿タンパク量の測定や尿中アルブミンの定量が行われます。また、尿沈渣の顕微鏡検査により、赤血球や円柱などの異常な成分が検出されることがあります。
■血液検査:血清アルブミンやトータルコレステロール、トリグリセリドなどの値が測定されます。また、腎機能や炎症反応の評価のために血液検査が行われます。
■腎生検:ネフローゼ症候群の確定診断には、腎生検(腎臓組織の採取)が必要な場合があります。これにより、具体的な病理学的な評価が行われます。

治療

■ステロイド療法:初期治療として、ステロイド薬(一般的にはプレドニゾロン)が処方されます。ステロイドは免疫反応を抑制し、タンパク尿の減少や浮腫の改善を促す効果があります。通常、高用量のステロイドが数週間から数か月間使用され、その後、減量スケジュールに従って維持量まで減らされます。
■免疫抑制療法:ステロイド単独で効果が不十分な場合やステロイドによる副作用が問題となる場合、免疫抑制剤が追加されることがあります。免疫抑制剤としては、シクロスポリン、シクロホスファミド、アザチオプリンなどが使用されることがあります。これらの薬剤は免疫反応を抑制し、炎症を抑えることで症状の改善を図ります。
■抗凝固薬の使用:ネフローゼ症候群では血液中の凝固因子が亢進し、血栓のリスクが高まることがあります。特に高リスクの患者には、抗凝固薬(例:アスピリン)や抗血小板薬が処方されることがあります。
■腎保護と浮腫管理:ネフローゼ症候群に伴う腎機能の低下を遅らせるために、血圧コントロールやタンパク質制限、塩分制限が推奨されることがあります。利尿剤(例:フロセミド)が浮腫の管理に使用される場合もあります。
■感染管理:免疫抑制療法を受けている患者は感染症に対してより脆弱になるため、感染予防が重要です。予防的な抗生物質の処方やワクチン接種が行われる場合もあります。