肺炎
概要
肺炎とは、なんらかの原因で、肺に炎症が起きている状態のことです。肺炎の大部分は感染性肺炎です。細菌やウイルスは呼吸をするときに鼻や口から身体の中に侵入しますが、健康な人は喉でこれらの病原菌を排除します。しかし、風邪などをひいて喉に炎症が起こっていると、病原菌やウイルスが気管支・肺に入ってしまい、炎症を起こします。
原因・症状
病態としては、風邪やインフルエンザにかかって気管支の粘膜に炎症が起こり、通常であれば痰として外に出るはずの病原体が残って肺内に侵入し、増殖して、病原体による炎症が肺胞にまで到達してしまうことです。特に高齢の方の場合など免疫力が落ちているため、ちょっとした風邪から肺炎を起こしてしまうことが少なくありません。また、糖尿病、心臓病、脳血管障害、腎臓病、肝臓病など慢性疾患のある方も免疫力が低下しているためかかりやすい、治りにくいなどが挙げられます。また、肺炎の原因菌では、肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマなどがあります。
症状は多くありますが、風邪症状が長引き、咳や痰が増加し、痰の色が白色から黄色や赤サビ色など濃く変わったり、悪寒や発熱が続いたりします。高齢の方では食欲が落ちる、元気がないなどの症状のみで熱が高くならない場合もあります。また、肺から胸膜まで炎症が広がっている場合などは胸痛が生じることもあります。さらに重症になると、呼吸困難に陥ったり、意識が混濁することもあります。
検査
検査は、喀痰検査、血液検査、尿検査、胸部レントゲン検査、CT検査などを行います。
- 喀痰検査:喀痰を採取した後、染色と培養を行い、原因菌やその菌に対してどんな抗菌薬が効くのか調べます。また、血液培養も行います。
- 血液検査・尿検査:体内で炎症が起こったときに上昇する白血球やCRPの値が上昇していないかを調べます。肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原検査を行います。
- レントゲン検査:胸部X線写真を撮影し、肺炎の広がりの程度を調べます。肺炎はスリガラス影や浸潤影と呼ばれる肺内の白い影として写ります。
- CT検査:胸部のCTを撮影し、肺炎の有無や広がりの程度を調べます。CTでは、レントゲン写真よりも詳しく様態を把握することができます。
- 動脈血ガス分析:血液中の酸素と二酸化炭素の含有量を測る検査で、広範囲な肺炎や高齢の方の肺炎の重症度を調べるときに用います。
治療
原因により異なりますが、軽症で全身状態がよければ、通院で内服薬を飲みながら治療していきます。細菌が原因と考えられる場合は抗菌薬、ウイルスであれば抗ウイルス薬を用います。
高齢の方の場合や脱水がある、食事が取れない、体内の酸素の数値が低い、意識状態が悪い、血圧が低いといった中等症・重症の肺炎が疑われる場合は、入院し点滴治療となります。また、呼吸不全が強くなると、酸素の吸入や人工呼吸器の装着も必要になる場合もあります。
その他
- 生活上の注意
肺炎をはじめとする様々な病気から、体を守るための日頃の心がけとしては、外から帰ってきた時にはうがいをしたり、手を洗うなど基本的なことを励行することが大切です。また、天気の良い日には外へ出て日光を浴びたり、散歩などの適度な運動をする。禁煙や基礎疾患のコントロールも大事です。また、インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンの接種も重要です。