医療法人 原三信病院
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092-291-3434

肩関節外来

「肩の痛みで困っていませんか?」

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(月曜日・木曜日)
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なお、金曜日午後受診希望の方は、事前に当院にご連絡ください。
092-291-3434(代表)

肩関節の痛みはみなさまもこれまでに一度は経験されたことがあるかと思います。
厚生労働省による国民生活基礎調査(2016年)によると、肩関節痛の有訴者率は、男性では第2位、女性では第1位であり、肩の痛みで困っている方はとても多いことがわかります。肩の痛みの原因は、五十肩(肩関節周囲炎)がよく知られていますが、そのほかに腱板断裂、石灰沈着性腱炎、変形性肩関節症などがあります。また、60歳代の4人に1人、80歳代の2人に1人に腱板損傷を認めた、と報告されています。五十肩と思って放っておいたら、痛みが続くため精密検査をしたところ、腱板断裂が見つかったということをよく耳にします。肩関節の痛みや腕が挙がらないといった症状は、日常生活動作を大きく制限する一因となります。

肩関節の痛みを生じる代表的な疾患は以下の通りです。

腱板断裂

腱板断裂は、中高年に多く見られる肩関節疾患のひとつです。腱板断裂の原因は、加齢による変性と外傷が考えられます。50歳以降になると、腱板の変性が進み、腱板断裂が生じます。腱板断裂により上腕を挙上するときの痛みや、上腕を挙げにくいといった症状が出現します。腱板断裂の治療は、まず鎮痛薬や注射療法(ヒアルロン酸、ステロイド)などの保存治療を行います。しかし、3ヶ月以上の症状が続く場合は、腱板修復術の適応となります。当院では、鏡視下腱板修復術(Suture bridge法)を行っております。鏡視下腱板修復術は、1cm程度の小さな皮膚切開を5ヶ所加え、関節鏡下に専用のアンカーを用いて腱板を修復する低侵襲手術です。この手術により上腕挙上時の痛みを改善することが期待できます。

腱板断裂性関節症

腱板断裂を放置すると、上腕骨頭が上方に移動し、上腕骨と肩甲骨の適合性が悪くなり、関節が傷んできます。そうなると、肩関節の痛みや肩が挙がらない症状が出現します。腱板断裂後に関節症性変化を生じ、肩関節の挙上が困難な65歳以上の患者さんには、リバース型人工肩関節置換術を行っております。この手術により肩関節の痛みが軽減し、肩関節の挙上を改善することが期待できます。

スポーツ傷害(反復性肩関節脱臼など)

反復性肩関節脱臼は、初回の肩関節脱臼後に比較的小さな外力で肩関節が容易に脱臼する症状が特徴的です。原因は、前下方の関節唇損傷が考えられます。また、上腕骨頭と関節窩の損傷で関節窩前下方に骨欠損(骨性Bankart lesion)や、上腕骨頭の後外側の陥没(Hill-Sachs lesion)を認めることがあります。当院では、脱臼不安定感が持続する患者さんに対して、関節唇修復術(鏡視下Bankart法)を行っています。
また、ラグビー・アメリカンフットボール・柔道などのコンタクトスポーツでは、肩関節脱臼の頻度が高いです。正しい治療を行わないと脱臼を繰り返すことになります。脱臼を繰り返す場合は、関節唇修復術や烏口突起移行術(Latarjet法)を行っています。

変形性肩関節症

肩関節の軟骨が変性すると、肩関節の痛みや挙げにくい症状が出現します。鎮痛薬や関節内注射などの保存治療を行っても症状が改善しない患者さんに対して、人工肩関節全置換術を行っております。人工肩関節全置換術は除痛効果に優れ、また肩関節の動き(可動域)が改善することが期待されます。

五十肩(肩関節周囲炎)

肩関節周囲の組織に炎症が起きることが主な原因です。肩関節を包む袋(関節包、肩峰下滑液包)が癒着するとさらに動きが悪くなり、拘縮を生じます。注射療法やリハビリで治癒することが多いですが、肩関節の拘縮が続く患者さんに対しては、鏡視下関節包解離術を行っております。

上腕骨近位部骨折

転倒によって生じる高齢者に多い骨折のひとつです。骨折のずれが小さい場合は三角巾などを用いた治療で治癒しますが、ずれが大きい場合は手術(骨接合術)が必要となります。

このように肩関節痛に関連する疾患は多岐にわたります。そのため、肩関節痛の原因を正確に診断するには、専門的な知識と経験が必要です。

当院では、肩関節の専門外来を行っております。私たちは、専門的知識と診療技術をもとに、患者さんのニーズに応じた最適な治療(薬物療法、注射療法、リハビリテーション)を行っております。また、手術が必要な患者さんに対しては、関節鏡手術や人工関節手術を行っております。リハビリテーションは、専属の理学療法士と共に、可動域訓練や筋力増強訓練を行っております。 患者さんの求めていること、希望していることを正しく理解し、最善で安全な医療を行うことを心がけております。そして肩関節の症状でお困りの患者さんに、安心して医療を受けていただき、信頼していただけるように努めていきます。

(文責:整形外科部長 竹内 直英)