ハイパーサーミアとは
温熱療法は、電磁波を用いて病巣を加温することにより、化学療法や放射線治療の上乗せ効果を期待して行われる治療法です。一定時間以上の加温によって、細胞表面に存在する蛋白の発現が変化することによって、ある種の抗がん剤の取り込みが増加する可能性があります。また、放射線抵抗性の傾向のあるがん細胞は、加温によって放射線感受性が高まる可能性があります。
体外からの加温では、熱を身体の深部にまで到達させることは困難ですが、ハイパーサーミアは、患部の前後に置いた対極版の間にラジオ波を発生させ、身体の深部に熱を発生させる医療機器です。1回の治療時間は最大50分までで、治療を受ける方の体力などを考慮しながら、適宜調節します。
当院では、原則として体幹部の腫瘍に化学療法もしくは放射線治療を行っている方の補助治療としてハイパーサーミアによる温熱療法を行っています。
ハイパーサーミア治療システム サーモトロンRF8 GR Edition
特徴
表面から深部臓器まで最適な加温ができる8MHzと1500Wの大出力
電磁波は周波数によって加温特性が大きく異なります。図Aに示すように、周波数が高くなるのにともない減衰は著しくなり加温できる深さが浅くなっていきます。また加温野の温度分布も図-Bに示すように不均等になります。このようなことから、サーモトロン‐RF8では他の装置に比べて最も低い8MHzの電磁波を採用しましたので、表部はもとより深部臓器まで、優れた加温ができるのです。さらに、電磁波出力は600Wから最大1500Wまで使用可能ですから。患者の体格や部位を問わず、広く用いることができます。
深部加温に優れたキャパシティブ加温方式と、均一加温に優れた円形ガントリー
サーモトロン‐RF8は2枚の対向する電極に生体部位を介在させるキャパシティブ加温方式を採用していますので、表部はもとより深部臓器の加温を確実・容易に行うことができます。またその加温部位は大型の円形ガントリーの中心部に位置するようになっており、ムラのない均等な加温分布が得られます。
生体加温に最適な発振方式
サーモトロン‐RF8の発振器は、生体部位を発振回路の一部とする生体加温のセルフ・エキサイテッド発振方式を採用しています。そのため、表部から深部まで、ほとんどの部位へ電磁波を確実・容易に流すことができますので、他の方式に比べて、加温能力は一段と高くなっています。
優れた加温性能を生む独自の負荷回路
サーモトロン‐RF8は、電磁波を生体内へ給電する負荷回路に、独自の負荷整合器を採用していますので、表部はもとより深部臓器の加温が、ほかに比べて一段と優れています。
温熱療法の適応外となる場合
- ペースメーカーを入れている場合
- 肥満や皮下脂肪が厚い体型である場合
- 治療は背臥位・腹臥位・座位のいずれかで行い、この姿勢を60分保持できない場合
- 小児または妊婦である場合
- 体内に金属がある場合
- PS(※下記参照)が2以上
- 金属ステントが留置されている
- 刺青を入れている(熱傷の原因になります)
- その他主治医が不適と判断した場合
PS(パフォーマンスステータス)とは
全身状態の指標の一つで、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
- 0:まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
- 1:肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。例:軽い家事、事務作業
- 2:歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
- 3:限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
- 4:まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
受診について
現在がん治療を行われている病院の先生からの紹介状を持参してください。原則として、化学療法もしくは放射線治療との併用治療となりますので、現在受けている治療の妨げとなる可能性があると主治医が判断されている場合には適応外となります。
主治医の先生から温熱療法併用の許可が出ましたら、具体的な受診の日時を予約しますので、当院のがん相談支援センター(TEL 092-291-3452(直通))までご連絡ください。当院の温熱療法担当医が診察し、治療適応と判断されれば、治療が開始されます。
費用について
ハイパーサーミアの費用についてはこちらをご覧ください。
ハイパーサーミア紹介動画
(株式会社 山本ビニター提供)