慢性閉塞性肺疾患（COPD）

息をするときの空気の通り道である｢気道｣に障害が起こり、ゆっくりと呼吸機能が低下する病気です。重症になると息苦しさのために行動の自由が奪われたり、全身に障害が現れたりするなど、大変な苦しみをともなう病気です。ありふれた症状でゆっくりと進行するため、異常を感じて受診したときには重症に陥っているケースが多く見受けられます。

喫煙が最も重大な原因であり、患者の90%以上は喫煙者です。発症リスクは喫煙本数に関係し、喫煙開始年齢が若年であるほど進行しやすくなります。受動喫煙（間接喫煙）も危険性が高くなります。大気汚染や塵埃や化学物質等も刺激になります。また、WHO(世界保健機構)の統計によると、COPDは世界の死亡原因の第4位にランクされており、喫煙率に比例して伸びています。世界平均より喫煙率の高い日本においては今後患者の増加が見込まれます。
症状としては、風邪でもないのに咳や痰がなかなか止まらず、毎日のように続いたり、同年代の人と同じペースで歩くのが辛くなり息切れをします。

呼吸機能検査の他、喀痰検査、胸部レントゲン検査：単純X線検査、胸部CT検査、血液検査、動脈血ガス分析などを行います。

主に、積極的禁煙指導による禁煙、薬物療法、呼吸器リハビリテーション、在宅酸素療法、食事療法による栄養管理があります。治療は、疾患の重症度に応じて行うため、呼吸機能検査により重症度を判定して行います。
自己管理の仕方として、COPDは進行性の病気であり、現在のところ根本的に治す治療法はありません。しかし、早期に診断を受け治療を開始すれば呼吸機能の低下を食い止められ、健康な人と変わらない活動的な生活を続けることができます。