下肢静脈エコー検査
どんな検査?
身体の腰から下の部分である下肢の静脈の血管に、超音波(エコー)をあて画像として映し出し、血管に詰まりがないかを調べます。
何がわかるの?
下肢に血栓ができる深部静脈血栓症¹⁾や足の血管が太く浮き出る下肢静脈瘤²⁾がないかがわかります。
下肢の血管に超音波をあてると、このようにエコー画像では映し出されます。(違いがわかりやすいよう、血の流れている部分に色をつけています。)
左の健常な方に比べ、右の方には、ほぼ色がないことから、血の流れが止まっているほどに遅いことがわかります。このことから、大きな血液の塊の血栓ができて重度の血管の詰まりになっていることが疑われます。
また、血管内で逆流が見られないかを波形にして見ます。右では、健常な方と異なり、逆流を示す下向きの大きな山のある3つの山からなる波形が見られます。このことから、静脈に逆流があり、異常が起きていることが推測されます。
静脈の「弁」や「静脈瘤」って何?
静脈は身体中から戻ってきた血液を心臓に戻す血管です。足は心臓より下にあるため、心臓から送り返す力だけでは血液が逆流して戻ることがあります。その逆流を防ぐため、静脈の血管内には門の役割をする静脈弁がついています。弁の開閉が悪くなると静脈瘤の原因となります。
静脈弁が壊れ、血が逆流してしまうと、血液が脚にたまって血管にこぶができて血管が浮き上がって見えます。これが静脈瘤です。下は超音波で画像に映し色をつけた画像です。血管の一部に血色がなく、血流がない部分がこぶのような塊になる静脈瘤が疑われます。
検査の流れ・方法
①検査する部分が膝より上の場合は、ズボンを脱ぐか下げていただきます。膝より下の場合は、ズボンを上げていただきます。
②椅子に座っていただきます。
➂部屋の明かりを消し、暗い部屋で検査を行います。
④検査する部分にゼリーを塗ります。
⑤静脈を圧迫しながら超音波をあて、画像に映し出します。その画像に色をつけて見ることで、静脈内の血の流れや血栓の有無などを調べます。(深部静脈血栓症の診断)
⑥足の末梢部を圧迫し、静脈の逆流を防ぐ弁に異常がないか調べます。(静脈瘤の診断)
⑦ゼリーを拭き取るためのティッシュをお渡しするので拭き取っていただきます。
その他
注意すること
●検査時はなるべく空腹状態が望ましいとされています。
用語・略語解説
1)深部静脈血栓症 | ふとももの付け根やひざ裏にある静脈の血の流れが悪くなって血管中に血栓ができ、痛みや腫れが生じ、できた血栓が立ち上がったときや歩き始めたときに血液の流れにのって肺に達し、肺の血管を塞いでしまうため起こります。この血栓が脳や心臓に達すると脳卒中や心臓発作などを引き起こす原因になります。エコノミー症候群の1つで、飛行機や車内などの窮屈な座席で長時間同じ姿勢のままでいると起こりやすいことから名前がつきました。 |
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2)静脈瘤 | 静脈瘤は脚の静脈の弁が正常に機能しなくなり、血液が逆流・うっ血を起こして脚の循環が悪くなり、血管にこぶのような塊ができる病気。 |