気胸
概要
気胸(ききょう)とは、肺から空気が漏れて胸の中に溜まってしまい、肺が小さくなってしまっている状態のことを言います。肺から空気が漏れて胸の中で溜まっても、胸の外側には肋骨の硬い壁があるので風船のように外側に膨らむことはありませんが、肺が空気に押されてしぼんでしまいます。
原因・症状
原因としては、大きく下記の3つがあり、主な症状としては、せき、胸の痛み、呼吸困難が挙げられます。(※自覚症状がない事もあります。)また、空気が大量に漏れると、肺がしぼんでしまい、さらに心臓を圧迫してショックになる場合もあります。また、同時に左右肺の気胸を起こすと大変な事になってしまいます。
自然気胸
明らかな理由なく発生する気胸のことです。10歳台後半~30歳台に多く、長身で痩せて胸の薄い男性に多く発生します。肺の一部がブラ(嚢胞(のうほう))と呼ばれる薄い袋状になり、この部分に穴が開くことで起こります。原因ははっきりしていませんが、喫煙が原因の1つと言われています。
外傷性気胸
交通事故などで胸を強打して肋骨が折れて肺に刺さったり、胸壁に通るような傷をおった場合に気胸を起こしてしまいます。
医原性気胸
病院で針をさすような治療や検査を受けたときにも気胸を起こす場合があります。
検査
気胸を診断するため、胸部レントゲン検査;X線検査を行ないます。レントゲンで気胸があることが診断できたら、必要に応じて胸部CT検査を行ないます。
治療
自然治癒
軽症でかつ症状が無ければ安静にして過ごし、外来でときどき胸部レントゲン検査を行って自然に穴が塞がるのを待ちます。
胸腔ドレーン
中等症や重症であれば入院が必要となります。胸に管(胸腔ドレーン)を入れて管の反対側に吸引機の箱を取り付けます。この箱は、あふれ出た空気を外に排出します。管は入れたままにしておき、空気があふれなくなったら管を抜きます。
胸腔鏡下手術
20~30歳代で再発を繰り返す、両側に自然気胸の既往がある、長期的に肺虚脱が持続する、胸腔鏡でブラの多発がみられる場合、ブラの切除が行われます。この手術は入院期間も1週間程度ですむので、初発の気胸から手術で今後起こりうる病変まで手術してしまうこともあります。