大腸ポリープ
概要
大腸ポリープには腫瘍性ポリープと非腫瘍性(腫瘍でない)ポリープがあります。腫瘍性ポリープの多くは腺腫という良性腫瘍です。腺腫性ポリープは大きくなるにつれてがんが入ってくる確率が上がってきます。5mm以下の腺腫性ポリープにはがんが入っている確率が非常に低く、大腸ポリープの内視鏡的切除後には出血のリスクもあるために、従来は経過観察される傾向にありました。しかし小さな腺腫性ポリープも経過とともに増大する事があります。近年、コールドポリペクトミーという電気をかけないで切る方法の出血のリスクが少ない事がわかってきました。そのため小さな腺腫性ポリープも内視鏡的に切除しクリーンコロン(ポリープのない大腸)化する考え方も出てきています。当院では患者様が希望されれば小さな腺腫性ポリープを外来でコールドポリペクトミーしています。
近年、大腸鋸歯状病変と呼ばれる従来はがん化のリスクが低いと考えられていた病変(ポリープ)の中に一部、がん化するリスクが高いものが含まれている事が明らかになりました。Sessile serrated adenoma/polyp (SSAP)とtraditional serrated adenoma (TSA)と称される病変で、これらのポリープも内視鏡的治療の適応としています。
大腸ポリープの一部にがんが含まれていた場合、がんが浅い部分に留まって深く入り込んでいなければ、内視鏡的切除で治療終了となる事もあります。
原因・症状
大腸ポリープの原因は明確ではありませんが、遺伝的な要因、食生活の乱れ、喫煙、肥満などが関与していると考えられています。
大腸ポリープには、症状がない場合もありますが、以下のような症状が現れることがあります。
■腹痛、下痢、便秘、腹部膨満感などの消化器症状
■便中に血液が混じる(赤血便)ことがある
■貧血
■体重減少
検査
大腸内視鏡検査で診断します。必要な場合はレーザー光を用いた拡大観察を併用して、内視鏡的治療が必要なポリープかどうか判断します。治療前に生検で組織学的診断をつける場合もあります。
治療
①内視鏡的粘膜切除術(入院治療)
②(ホット)ポリペクトミー(入院治療)
③コールドポリペクトミー(外来で施行可能)
原則、1cm以下の腺腫性ポリープで有茎性でないもの(茎のないポリープ)はコールドポリペクトミーで治療しています。1cmを超える無茎性(茎のない)の腺腫性ポリープは内視鏡的粘膜切除術で治療しています。有茎性(茎のある)ポリープは(ホット)ポリペクトミーで治療しています。